破産管財実践マニュアル167頁で、「法人所有の建物や個人の事業用建物の場合には、建物消費税を計上する必要があります(土地は非課税です)。」「土地と建物の固定資産評価額での按分計算を行う方法がよく採られています。」「内税の場合は、土地代金+(建物代金×1.05)が売買代金となるよう配分します。」と記載しました。
では、具体的にどのように計算するのでしょうか。
具体例として、不動産全体の売買代金を1000万円(内税)、土地評価額を600万円、建物評価額を200万円とします。
個人の破産者であれば、消費税がかかりませんので、600:200の割合で割り付ければよく、
- 土地の割付額
1000万円 × 600万円 / (600万円 + 200万円) = 750万円 - 建物の割付額
1000万円 × 200万円 / (600万円 + 200万円) = 250万円
となります。
これに対して、法人の破産者の場合は、売買代金を、土地部分、建物部分と建物消費税部分に割り付けることになります。
その割合は、上記の例では、600万:200万円:10万円(建物評価額の5%)です。
とすると、
- 土地の割付額
1000万円 × 600万円 / (600万円 + 200万円 + 10万円) ≒ 741万円 - 建物の割付額
1000万円 × 200万円 / (600万円 + 200万円 + 10万円) ≒ 247万円 - 建物消費税の割付額
1000万円 × 10万円 / (600万円 + 200万円 + 10万円) ≒ 12万円
となります。
約12万円は預り消費税となりますから、担保権者への配分原資からは控除します。
もっとも、不合理な割付であれば、税務署に否認される可能性はありますが、土地代金と建物代金の割合は、売主と買主の合意で定められるべき事項であり、固定資産評価額割合に「よらなければならない」というものではありません。