銀行が貸付けを行い、保証会社が保証している場合に、債務者が弁済できなくなると、保証会社が代位弁済します。
これにより、保証会社は、債務者に対する求償権と、銀行が有していた原債権(貸金債権)を取得します。債務者の所有する不動産に原債権を被担保債権とする抵当権が設定されていれば、保証会社は、原債権とともに抵当権も取得します。
そして、債務者が破産や民事再生に至った場合、求償権・原債権は、ともに破産債権(再生債権)となります。もっとも、原債権については、抵当権の被担保債権ですから、別除権付債権となります。
原債権が再生計画によって権利変更され、これに基づく弁済が完了した場合に、原債権に基づく競売が許されるのか、という点について、千葉地裁平成23年12月14日決定が判断しています(判例時報2136号91頁)。
問題点は、
- 求償権は再生計画の履行によって消滅しているのであるから、原債権も附従性によって消滅し、抵当権の実行は許されないのではないか
- 抵当権の実行を許すと、保証会社は、原債権の実行による回収と、求償権全額を基礎とした弁済の両方を受けることになり、不足額責任主義に反するのではないか
という点にあります。
上記判決例は、1.について、最高裁平成23年11月24日判決(金融法務事情1935号50頁)を引用しつつ、担保権行使の限度では原債権に対して再生計画による求償権の権利の変更の効力は及ばないとして否定し、2.についても、求償権と原債権は別個の債権であるからをやむを得ないとして、抵当権の実行を認めています。
2.についてですが、確かにこのような求償権は別除権付債権ではないのですが、大阪地裁では、別除権付債権である原債権と同様の制約を受ける取扱いとしています(「新版破産管財手続の運用と書式」255頁)。
このような運用であれば、不足額責任主義上の問題は回避できます。
なお、本件では、保証会社は別除権付債権として届け出ていましたが、再生債務者は、別除権なしの再生債権として取り扱っていたようです。