では、再建型手続を諦めて、破産申立やむなしとなった場合に依頼者に予め説明しておくべきこととしてどのようなことがあるでしょうか。
財産の隠匿や否認対象行為などをしないように注意しておくことは当然ですが、破産手続の流れや管財人が選任されること、管財人がどのようなことをするのか、それに対する協力が必要になることはきちんと説明しておくべきでしょう。
私が管財人をした事件で、債権者集会前に代表者から「債権者集会には出席しないといけないのですか?債権者集会ではどんなことを話せば良いのですか?債権者から質問されたら私が答えるのですか?」と言った質問を受けることがときどきあります。
これらは当然代理人が説明しておくべきことです。
申立代理人としては申立をすることに集中して、申立が終われば、役割が終わったかのように考えがちですが、代理人の役割はそこで終わるわけではありません。
たまに管財人として代理人に問合せをすると「そんなことは代表者に聞いてくれ」などと言われることがありますが、破産法40条1項2号には代理人にも管財人に対する説明義務があることを規定していますので、このような代理人の対応は適切でないことになります。
(注)本件は平成24年2月4日に行われた全倒ネット関東地区研修会のパネルディスカッションのポイントをパネラーの1人である石川が個人的に理解したところをまとめたものです。なお、よくある法人破産の具体的事例を前提にディスカッションが行われています。