固定資産税・都市計画税の日割精算

1月から4月初旬ころまでに不動産の決済を行う場合、本年度の固定資産税額がまだわからず、納付もできないのが通常です。

前者については、固定資産評価額の評価替え以外の年であれば、前年度の税額を基準にして日割精算の基礎とすれば足ります。

しかし、評価替えは原則として3年に1度で、平成だと3で割り切れる年に評価替えがあります。
今年(平成24年)はちょうど固定資産評価額の評価替えの年ですので、納付時期だけでなく、日割精算の基準額についても気を配る必要があります。

前者の日割精算の基準となる税額をいくらとするかについては、

  1. 前年度の税額をもとに仮精算をしておき、今年度の税額がわかる時期以降に、改めて差額の精算をする
  2. 差額は無視して、前年度の税額を基準とする

という2つの方法があります。

1.は、厳密な金額で精算できるという利点があります。しかし、自治体によって時期が異なりますが、納付書や交付要求が来るまで換価が終了しないことになります。大阪市の場合、第1期の納期限が5月1日ですから、4月の上旬には納付書が届きますが、東京都のように7月1日が第1期の納期限のような自治体の場合には、納付書の到着はさらに遅くなります。
この方法による場合、買主との間で、売買契約書とは別に何らかの覚書を交わしておいた方がいいでしょう。
2.は、これと反対に金額の厳密性は失われますが、簡易・迅速に決済を完全に終えることができるという利点があります。

次に、後者の納付時期(付随して誰が納付するか)については、

  1. 交付要求が来るまで待って、管財人が納付する
  2. 売主負担分を買主に渡しておき、納付書が届いたら買主に交付して納付してもらう

という方法があります。

1.は、管財人が行うので確実なのですが、事件を早期に終結できないというデメリットがあります。
買主が信用できるのであれば、2.の方法でもいいでしょう。この場合の覚書の書式が、破産管財実践マニュアルの498頁にあります(書式集のページのNo.23にも掲載しています。)。
なお、2.の方法による場合、市役所等と相談して、納付書の送付先を買主とすることも可能です。

ところで、固定資産税の日割精算は、関西と関東で基準日が異なります。
関西方式は、基準日が4月1日ですので、3月31日までは前年度となります。金額が不明な日割精算が必要となるのは、4月1日から納付書が届くまでの間です。
これに対し、関東方式は、基準日が1月1日です。このため、1月1日以降納付書が届くまでの決済について、決済時には当該年度の固定資産税・都市計画税額がわからないということになります。

もっとも、4月1日を過ぎれば、固定資産評価額は確定し、固定資産税・都市計画税の額も決まります。
市町村等に電話すれば、固定資産税・都市計画税の額を教えてくれますし、交付要求や納付書も早めに受けることができます。

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