東京高決平成25年3月19日
判タ1390号354頁
金法1973号115頁
「抗告人は、以前の破産申立事件において免責申立てを懈怠した破産者による再度の免責申立てを不適法とした仙台高等裁判所平成元年6月20日決定(判例タイムズ722号274頁。(仙台高裁決定))を援用して、本件における相手方による免責許可の申立ては不適法であると主張する。しかし、仙台高裁決定は、旧破産法(大正11年法律第71号)の下での決定であり、仙台高裁決定にもかかわらず再度の破産手続開始の申立てを禁ずる規定を設けなかった現行破産法(平成16年法律第75号)の下での判断を示したものではない。また、仙台高裁決定の事案は、前件の破産申立ても再度の破産申立てもいずれも債務者による自己破産の申立てであるが、本件では、前件の破産手続開始の申立ては債権者である抗告人の申立てによるものであり、いずれにせよ、仙台高裁決定は、本件とは事案を異にする。」
「破産手続が適法に開始された以上、その申立てが濫用にわたるなどの特段の事情がない限り、免責許可の申立てが許されない理由はなく、本件においては、前記のとおり、抗告人は、相手方に対し、前件破産手続開始事件において免責されなかった債務の支払を厳しく求めており、相手方が免責許可を求める必要は高いと認められ、上記特段の事情は認められない。」
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参考判決例は次のとおりです。
・以前の破産申立事件において免責申立てを懈怠した破産者による再度の破産申立事件における免責申立てを不適法した決定
仙台高決平成元年6月20日
判タ722号274頁
・破産宣告、同時廃止決定を得た者が免責申立てをするために再度破産申立てをした事案について、破産申立てを却下した決定
静岡地裁富士支決昭和63年4月22日
金法1220号38頁