東京高判平成25年4月17日
判タ1391号354頁
金法1976号102頁
「再生計画案における権利権利変更等の効力は,再生債権者の承認に由来するものであり、そうであるとすると、再生計画案における条項の解釈は、付議決定時点における再生債権者として通常理解しうる解釈をもって決定するのが相当であるし、債務者による一方的な解釈をしうる余地を設けることも相当ではない。また、再生計画案である以上、その内容、特に弁済に関する事項は、再生債権者が理解できるものでなくてはならず、このことは控訴人の指摘を待つまでもなく、いわば自明の理というべきである。しかし、再生計画案の付議決定の時点において計画案が想定していなかったような事態がその後生じ、この想定していない事態を前提にした条項が規定されていない場合には、民事再生法、破産法の原則に照らして、再生債権者の公平、平等を念頭に解釈してこれを解決していくのが相当である。」
「再生債権者が複数の再生債権を有し、その一部について保証等の担保が付されている場合において、再生手続開始後第1回弁済前に連帯保証人による弁済等がされたことにより、再生債権の残額に変動が生じた場合に、本件再生計画によれば、どのような計画弁済をするかということは、本件再生計画が付議決定された平成21年12月4日の時点において、想定されていなかった事態であったというほかない。そして、本件一本化条項を含む本件再生計画は、そのような事態を想定していない状況で策定され、議決の上認可されたものであるから、本件再生計画の解釈においても、その付議決定時点における再生債権者として通常理解し得る解釈をもって決することはできず、結局は、民事再生法、破産法などの原則に照らし、解釈するほかないケースであったというほかない。そして、これらの原則及び本件再生計画の特質などから解釈した本件一本化条項の意義等については原判決が説示したとおりであるから、本件一本化条項に基づき控訴人の保有する複数の再生債権を一本の再生債権とし、これに対して計画弁済がされると解することはできないというべきである。」