名古屋高判平成24年1月31日
判タ1389号358頁
「1審被告の1審原告に対する本件解約金返還債務は、1審原告が支払の停止をする前に締結された本件取引規定を内容とする本件管理委託契約に基づき、1審被告が本件受益権を管理していることにより、本件受益権分の解約によって解約金が1審被告に交付されることを条件として発生し、1審被告は、かかる停止条件付きのものとして本件解約金返還債務を1審原告の支払の停止前に負担したのであるところ、1審原告の支払の停止後に本件解約金が1審被告に交付されたため、上記停止条件が成就して、1審原告に対して本件解約金返還債務として負担するに至ったものであるが、当時なお1審原告と1審被告の間には本件管理委託契約が存続し、これに従って本件受益権は1審被告によって管理されていたのであり、1審被告は、本件管理委託契約を包含する上記仕組みに従って、上記停止条件成就により1審原告の支払の停止後に1審原告に対して本件解約金返還債務を負担したものであるから、本件解約金返還債務の負担は、1審被告が1審原告の支払の停止を知った時より前に生じた本件管理委託契約等という原因に基づく場合に当たるものというべきである。」
「本件相殺については、それが民事再生手続において許容されるものであるか否か(民事再生法上の相殺禁止規定に該当するか否か)の観点から、その効力が判断されるべきものであり、別途否認権行使の対象となるものではない(最高裁昭和41年4月8日第二小法廷判決・民集20巻4号529頁、同平成2年11月26日第二小法廷判決・民集44巻8号1085頁参照)。」
コメント
・民事再生法93条2項2号の支払の停止を知った時より前に生じた原因によるものなので、相殺禁止に該当しない
・相殺禁止に該当しない場合は、否認対象行為とならない
と判示しています。